エースの連投論
歴代最多の甲子園63勝を挙げている智弁和歌山の高嶋仁監督が記者に「一番後悔していることは」と問われ 迷わず
「高塚をつぶしたことやな」と答えたそうです。*参照
今年の選抜の決勝が地区大会の1回戦の様なスコアだった事に驚きそんな言葉を思い出しました。
負けた済美高校のエースは大会屈指の2年生エースで各球団スカウトが口をそろえて今年でも1位と江川卓、伊良部クラスと断言しているそうです。
その日本の野球界の宝 安樂智大投手16歳に772球を投げさせたのはあまりにも過酷だと 内外から批判が出ています。
米CBSスポーツ電子版では「投手にとって正気の沙汰と思えないし、過酷な負担だ。成長途上にある16歳であれば、なおさら」と指摘。元スポーツライターの乙武洋匡さんは高校2年生の年齢で多くの球数を投げさせる事も問題だが「エース力投」などと美談として報じるだけで問題提起を怠っているスポーツマスコミの姿勢や、球数制限の導入を検討しない日本高校野球連盟にも苦言を呈しています。テキサス・レンジャースのダルビッシュ有投手は「出場選手登録を25人にして、学年別に球数制限がいいかと」と提案しました。
反対意見は球児のすべてがプロに行くわけではない、無理してでも甲子園で燃え尽きたいから、制限などされては困ると意見する人もいたそうです。
また、野球評論家の江本孟紀氏は(4月2日付の自身のブログで)「元々連投のきく地肩の強いタイプがある。そして故障しにくい美しいフォームが出来ていること。それを作る為の練習方法などによって強靭な足、腰、肩が作られる。そして最後は手首・握力のパワーが連投できる元だ」と説明し「肩肘など故障をするかもしれないリスクを、勝利という代償を得て戦いプレーするのだから、あれもダメ、これもダメ等と他人がとやかく言うべきじゃない」という主張したそうです。
う~ん、難しい問題です。NPBキャンプで1日200球以上の投げ込みとか短期間で2,000球以上投げ込みしないと一年持たないなんてコメント寄せてる投手が多いように、球数が投手を潰すことに直接結びつかないとは思いますが。江本氏が指摘するようにそれなりの指導は必要でしょうけど。
ただ、私は何度も訴えている様に野球は短期決戦に不向きな競技で、トーナメントなんか尚更合わないと思います。WBCのトーナメントが複雑なのは短期決戦に出来るだけ合わせようとした結果 あのように複雑に成ったんですからネ。
高野連も金もうけ主義を少しは捨てて、例えば天下り先みたく役に立たない役員の数を減らして、採算ばかり考えずに日程をゆっくりしてベンチ入り人数を増やすぐらいの事は すぐにでも出来ると思うのですがネ。
おまけの話
我が愛娘の高校と済美高校とは交流が有り(四国遠征があります)娘の高校の野球部OBに上甲監督について以前色々話を聞いた事がありますけど、謙虚で立派な人格者との印象でした。そんな自分の名誉の為に高校生を潰すような事をする指導者でないと言う事を付け加えたいと思います。
*1996年のセンバツで準優勝したときの2年生エース・高塚信幸(元近鉄)初戦と準々決勝で完封するなど、140キロ台の速球を武器に準決勝までの4試合をすべて完投。チームを決勝に導く原動力となった。高塚はこの大会の連投で肩を痛め、全国優勝した3年生の夏はほとんど登板できずに終わった。
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コメント
こんにちわ、午後から台風並みの低気圧がやってくるとかでドンヨリした厚い雲に覆われた薄暗い横浜です、嵐の前の静けさといった感じです
昔ラジオの野球中継で「金田正一サン」が一人の投手が野球人生で投げる投球数というものは個人差はあるものの決まっていると話していました、人間の身体なのですから限りがあるのは当たり前なのではと思います、持って生まれた才能や訓練、体調管理などで差があるとは思いますが
選手の思いやチームの状況などを考えると難しいはなしですね、しかし将来のある高校球児の健康を考えると高野連も投球回数なりベンチ入り選手の人数拡大なんかを決めるべきだと思います
翻って技工士も一生の間にクラウンを何本とかインレー何個とかないのでしょうか?
私はもう41年くらいこの仕事してるから、一日平均クラウン3本~5本作ってるとして一年に役1000本×41年=41.000本
四万本も作ったのかと今更ながらビkックリです(笑)
後何年(何個)作ったら「お役御免」になるのでしょうか
投稿: JOHN | 2013年4月 6日 (土) 10時42分
こんにちは JOHN様 いつもコメントありがとうございますm(_ _)m
こちらは今の所気温は低いですが、小雨で平和な感じです。
大惨事に成らなければ良いのですが。
私の学生の頃は殆ど無かったトレーニングですが、最近言われるのが、インナーマッスル トレーニングの重要性ですね。
簡単に言うと大胸筋等の大きな筋肉は鍛えやすいですが、小胸筋のような深い所にある小さな筋肉は鍛えにくく 痛めると厄介だと言う事らしいですね。ですから地道なインナーマッスルトレーニングが重要だそうです。
最近の選手寿命が延びた事はこんなトレーニングの進歩が良い影響をもらたらしていると思われます。
ですから、指導者の知識力の差が球児の将来を左右するかもしれませんね。
金やんはカーブの投げ過ぎで今でも腕が曲がったなんて話が有名ですが、高校生でも変化球の投げ過ぎで腕が伸びなくなった子がいるのも事実なので、高野連は球数制限か間隔をあける事の義務化など対策をするべきでしょうね。準決勝前と決勝前に2~3日日程を開けるだけで済むんですから。
昔、ドラゴンズの与田氏が星野監督時代連投連投で肩が痛かったけど、痛いと言いにくい雰囲気が有った と回顧してるように、プロでもそうなのだから、周りの大人がブレーキを掛けてあげる配慮は必要でしょうね。
私はまだ2万本以上FCとFCK作り続けないといけない様です^^;
投稿: 45net | 2013年4月 6日 (土) 12時59分